・配管抵抗低減剤LSPとは
「配管抵抗低減剤LSP」はビル・工場・病院・
デパート・ホテル・公共施設などの空調設備の
省エネルギーを可能にする添加剤です。LSP
はカチオン系界面活性剤と対イオン、および複
数の防錆剤を最適な条件で混合した商品で、空
調設備の循環水に添加するだけで流れの抵抗を
著しく減少させ、ポンプ輸送動力の省エネルギ
ー化に役立ちます。さらにLSPは一般配管に
使用されている鋼管はもちろんのこと、熱交換
器に多く使用されている銅製配管の腐食防止効
果も優れており、システムの延命に効果を発揮
します。
・LSPによる空調設備の省エネルギー
空調設備の循環水にLSPを添加することによって、流れの抵抗が著しく減少します。
例えば50℃の温水が流れている直管(内径;20mm)にLSPを5000ppm添加
した場合、流体摩擦係数はLSP無添加時の20〜25%になります。しかし、実際の空
調設備の配管は直管のみではなく拡大部、縮小部、曲がり管などの付属物があり、さらに
管径も様々です。よってすぐさま75〜80%の省エネルギー化が図れるわけではありま
せん。これは適用する施設やその運転状況によって異なるということですが、実績値とし
てLSPを添加すると15〜30%の流量増加が達成されることが判っています。
既設の熱媒輸送動力(ポンプなど)が能力不足である場合は、LSPを添加するだけ
で流量が増加し、循環ポンプの能力不足を補うことができることになります。
吐出流量 Q'w 吐出流量の増加 Qw=(1.15〜1.3)
LSPの添加 ×Q'w
動力 動力はそのまま
P'w Pw=P'w
ポンプ
既設の循環ポンプの能力が十分である設備においては、以下に述べる方法によって省エ
ネルギー化を図ることができます。ここでは循環ポンプを4台備えた(予備なし)設備を
例として説明します。この設備の循環水の総流量をQw、総動力をPwとします。
総流量
Qw
総動力
Pw
1.設備の保有水量に対し5000ppmの濃度でLSPを添加します。例えば、保有
水量が5tの場合は、25kgのLSPを添加することになります。
2.1の操作によって、循環水の総流量QLSPは15〜30%増加します。ここでは仮に
25%増加したことにします。このときのポンプ動力PLSPはLSP添加前と変わり
ません。
LSP 5000ppmを添加
↓ 総流量
QLSP=1.25Qw
総動力
PLSP=Pw
3.この設備は能力不足という問題があるわけではないので、QLSPという過剰流量は
必要ありません。よって4.または5.の方法で流量をQwに近づけます。
4.4台の循環ポンプのうち、1台の運転を停止します。これによって理屈上は流量が
3/4となり、1.25×3/4=0.94 となって、Qwに近い流量となりま
す。この場合、停止した1台のポンプの電力がランニングコストの低減となります。
総流量
=0.94Qw
停止
この方法はLSPを添加するだけで(ハードの変更なく)達成される省エネルギー
ですが、
1)既設の循環ポンプの台数が少ないとき、
2)必要な循環水量の変動が大きいとき、
は注意が必要です。このような場合にはLSPによる流量増加量が1台のポンプの
吐出流量未満になる可能性があり、総流量が不足することになります。このときは
以下に示す方法を採用します。
5.循環ポンプにインバーターを取り付け、ポンプの回転数制御によって流量コントロ
ールを行います。この方法はインバーター設置という設備投資は必要になりますが、
LSPによる流量増加分に応じて無駄なく電力低減が行えるばかりでなく、空調設
備の負荷変動にもフレキシブルに追従する設備が構築できます。この方法によって、
これまでの実績として30〜60%のランニングコストの低減効果を達成していま
す。
設
備
投
資
総流量
=Qw
上図は1つの循環系に4台のポンプが接続されている場合ですが、設備によっては空調設備
内に複数の循環系統があり、この系統ごとに1つ、または複数のポンプが備え付けられている
場合があります。このときは系統ごとにインバーターを取り付け、系統ごとの負荷変動に応じ
た運転制御をすることで、最適な省エネ化が達成されます。
以上でLSPの概要がお分かりいただけたと思います。
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