第12回ヨーロッパ抗力減少会議に参加して

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     デンマーク国王の城           デンマークといえばアンデルセン
                             (今回、はじめて知ったのだが)


  12TH European Drag Reduction Meeting

           18-20 April 2002
          Herning, Denmark

The 12th European Drag Reduction Meeting will be held on 18-20 April 2002 in Herning, Denmark. The meeting will be organised by the ERCOFTAC Special Interest Group (SIG): Drag Reduction and Flow Control, coorganised by Dr Kwing-So Choi of University of Nottingham, UK and Mr Flemming Hammer of Bruun & Sorensen, Denmark. Drag Reduction SIG is one of the founding groups of ERCOFTAC, which has carried out the coordination of experimental, numerical and analytical research into drag reduction and flow management using passive and active techniques, including riblets, LEBUs, polymer and surfactant additives, compliant coating, boundary layer structures and drag reduction mechanisms.


<私の発表タイトルと概要>
Applications of surfactant drag reduction for practical air conditioning systems

Takashi Saeki and Shuichi Yamamoto,
Yamaguchi University, 2-16-1 Ube, 755-8611, JAPAN

Keiji Tokuhara,
Shunan Region Local Industry Promotion Center Foundation,
2-118-24 Kokai, Tokuyama, 745-0814, JAPAN

Toshio Matsumura,
LSP Cooperative Society,
6-10 Chikko, Tokuyama, 745-0025, JAPAN

Key Words: Drag reduction, Surfactant solution, Air conditioning system,
Energy conserving system, Corrosion

ABSTRACT
Drag reduction caused by surfactant solutions is considered to be one of the most effective ways to reduce the running cost in closed-loop district heating and cooling systems. Many researches of drag reduction have been highly developed in recent years. However, there are few papers about the application of drag reduction for practical air conditioning systems.
We investigated the effects of corrosion inhibitors on the drag reduction caused by a cationic surfactant; oreyl-bishydroxyethyl-methyl-ammonium chloride (C18H35N (C2H4OH)2CH3Cl) and sodium salicylate. Three commercially available inhibitors and three chemicals were examined. Experimental results showed that the commercially available additives blocked the drag reduction. The three chemicals slightly influenced both the maximum drag reduction percentage (DR%) and the velocity corresponding to the maximum DR%. Finally, we prepared a suitable drag reducing additive (bland name;LSP-01) which displayed enough corrosion resistance.
We have applied such developed additive for more than 50 practical, distinct heating and cooling systems, and their merits were quantitatively evaluated. In most cases, the addition of LSP-01 showed a 10 - 20 percent increase in the flow rate. Using an inverter installed in the main pump, the flow rate was set equal to that without the addition of LSP-01. A maximum of more than 50 percent of energy saving was performed in our projects. Several problems encountered in the application are also reported.

<私の発表に対する質問>
 Q1:実機にDR効果を使用して、伝熱低下の現象は見られなかったか?
 A1:実機ではこれまでの実績から、伝熱の低下は全く観察されない。
 Q2:空調機にトラブルが発生することはないか?
      
↑ この質問はもっと長く、質問者の英語もなまって聞き取りにくかったが。
 A2:これまでの実績ではなかったとお答えする。

    → 実機化については、誰もがかなり興味がある感触を受けた。


 <参加国(発表者)>

  <発表内容の分類>


<海外の界面活性剤DRに関する発表;4人>

 1.アクゾノーベル(ノルウェー)のグループ
    4〜120℃まで有効なDR剤(DRA)を開発
    生分解性のDRA
    熱煤(oil)に添加して、良好なDR効果があった 
 2.チェコの研究者;2件
    CTACを使用し、直管のDR効果を測定
    CATAを使用し、直管とコイル管のDR効果、伝熱減少を測定
 3.オハイオ州立大学(USA)のZakin教授のグループ
    界面活性剤(エソカードT13-50、SPE98330、Trilon A)DRの伝熱促進

次回のヨーロッパ抗力減少会議は2004年春にフランスのグルノーブルで開催されるようです。



<デンマークとは。行って感じたこと、あったこと、事件など>
●デンマークの言語はデンマーク語。ドイツ語にどこか似ている。しかし、デンマーク語で話しかけられても、全く判らない。もっとも、向こうも髪が黒く、目が黒い私がデンマーク語を理解できると思っていないのであろう、デンマーク語で話されたことは、テレカを買ったときのおばちゃんだけだった。「English Please」と何度も言ったが、無視された。
●しかし、みんなが英語を話せるわけでもないようで、特にお歳の方...。空港から駅までバスで移動したが、どこで下りていいものか不安になったとき、バスが停まり、多くの乗客が下りはじめた。そこで向かいのおじさんに「ここは駅か?」と英語で聞いたところ、おじさんは「No」と答えた。するとあわてて近くの青年が「Yes」と答えてくれた。あぶねえ〜。
●ヘアニング駅からホテルまでのバスを待っていたときに、20歳くらいの女性が英語で話しかけてきた。はじめは「次のバスは何分」という感じで、そのうち「どこから来たの?」、「デンマークは初めて?」、「何時間かかったの?」とか聞き、「デンマーク人をどう思う?Friendly?」などと聞いてきた。「まだデンマークに着いたばかりなので判らん」と答えたが、この女性は少なくともfriendlyだと思った。
●彼女によれば日本とは遠い国という印象が第一で、その他は特にないようだった。
コペンハーゲンのホテルはかなり高く、その割に古びていた。エレベータが古くて、使うのが怖かった。食べ物は大盛り。価格は少し高いかな、という感じ。
●国際会議のあったヘアニングは
かなり田舎だった。建物が少ない。しかし、ホテル(とは言いがたい。モーテル)のフロントの女性に学会会場であるヘアニング単科大学の位置を聞いたところ、「知らない」と言われ、「多分、ここと、ここと、ここの可能性がある」と手書きの見にくい地図をもらった。全て歩いて行ってみた。確かにその内の1つではあったが...。
●今回の渡航で最悪の事件とは...
 スーツケースをこじ開けられカメラを盗まれたこと。某アジア系の便を利用して関空からタイを経由し、コペンハーゲンへ。空港の荷物コンベアーでスーツケースを受け取ったが、そのときスーツケースにつけていたバンドが無くなっていることに気づく。そのときは「まあ仕方が無いか」と思い、とりあえず税関の窓口へ。女性職員の「どこから来たのですか」の問いに「JAPAN」と答えると、「ジャパ〜ン?」と言われ、携行品の検査を入念にされた。他の客はほとんど素通りなのに。「何で?」と思っていると、「スーツケースを開けてください」と言われ、開けようとしたがなぜかカギが動かず開けられず、女性職員と力づくで試みるも断念。「OK, X−ray」といわれ、結局、X線検査を受けその場は切り抜けた(といっても、まずいものを持っていたわけではないが)。この後、気が変わってこの女性職員に「スーツケースを受け取ったときに、バンドがなくなっていた」と訴えたところ、「このビルの2階にバンドを売っている」と言われた。まったく...。「ではなくて、...」と説明すると、「あそこのカウンターに行け」との指示。
 カウンターで事情を説明し、「どうしてくれるんだ」と強気に出たところ、2000円相当の現金をくれた。やれやれと空港をあとにし、駅まで移動。ベンチの上で先ほどカギの動かなかったスーツケースを開けようとしたが、ダメだった。どうしたものかと思っていると、駅の向こうに合鍵屋らしき店舗があった。スーツケースを抱えてその店に入る。店員に「このスーツケースを開けれるか?」と聞いたところ、不思議そうな顔をしていた。意味が分からないようだった。そこで「カギが壊れて開けられなくなった。貴方はこれを開けるテクニックがあるか?」と聞きなおすと、「私は合鍵を作るだけで、それは無理だ」と言われた。諦めてとにかくホテルまで移動。試しにホテルのカギをスーツケースのカギ穴に入れると、なんなくカギが動き、スーツケースは開いた。何としたことか。まあ開いたから良かったかと思いきや、明らかに中味を荒らされた痕跡が...。「発表用の資料は? あった、良かった。」 実は現金を封筒に入れて貼り付けていたのだが。これも奇跡的に無事だった。よくよく調べたところ、5年前に買ったカメラだけが盗まれていた。買ったばかりのデジカメは携帯していて無事だった。旅行の保険会社(日本)に国際電話をかける。「保証金は出ますが、被害証明書を空港でもらってください」とのこと。
 帰国の日、被害証明書の作成を依頼しに、...。さて、どこに行ったらいいものか? とりあえず航空会社へ。空港で重いスーツケースをもって階段を3階まで上り、某航空会社のオフィスを訪ねる。バンドがなくなっていたこと、これは現金で弁償してもらったことを説明。続いてスーツケースのカギが開かなくなって...、というあたりを説明しているときには、相手の顔が曇ってきたので、「うんうん、通じている」と思いながら話しつづけようとすると、「その件はここではなく、○○に言ってくれ」と言われる。もっと早く言ってくれ。で、階段で1階までおりて○○に移動。カウンター越しに事情を2分程度説明したあたりで、「その件はここではなく、△△に言ってくれ」と言われる。で、結局、はじめにバンドの弁償をしてくれたカウンターに連れて行かれた。再び説明開始。話しながら、説明の後半部分で、「ホテルでカギをこじ開けてスーツケースを開いたら、中味が荒らされていた」と言わなければならないが、どう表現したらいいんだ?と思いながらも口にまかせて一通り説明。カウンターの女性は「分かりました。貴方のために被害証明書を書いてあげましょう」と言い、なにやらタイプして「OKです」と言い、「帰国してこのナンバーを保険会社に言えば全てOKです」とレシートのような紙切れをくれただけだった。どんな証明書を作成したのか、私の言ったことが全て書いてあるのか、と不安ではあったが、時間もなく「Thank you」と言ってその場をはなれ、帰国の途へ。後から日本の保険会社に聞いたところ、証明書では「カメラが盗まれた」のところが「カメラが壊れた」となっていたとのことだった。私は「stolen」と言ったのだが、いつの間に「broken」になったのか?? 「broken」だったら、現物を見せるが。ともかくカメラの保障金は無事に下り、カギは航空会社が修理代を支払ってくれたのであった。


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